【目次】
第1章:はじめに|なぜPDFの埋め込みフォント確認が必要なのか
1-1. フォント埋め込みとは? PDFに文字情報を保持する仕組みを解説
1-2. 印刷現場でよくある「文字化け」や「レイアウト崩れ」の原因とは?
1-3. なぜ印刷会社は埋め込み確認を要求するのか?
第2章:フォントを埋め込まないと発生するトラブルと原因
2-1. 書体が置き換わることで発生する段落ズレの落とし穴
2-2. 社内・印刷会社で異なる環境による再現性の欠如
2-3. 企業ブランドや納期にも影響する「フォント問題」
第3章:PDFの埋め込みフォントを確認するための方法
3-1. 【基本】Adobe Acrobatで埋め込みフォントを確認する手順
3-2. 【無料ツール】PDF-XChange Viewerなどを使った確認方法
3-3. 【初心者向け】Windows・Mac標準機能での簡易チェック
3-4. 埋め込み済みフォントと未埋め込みフォントの見分け方
第4章:埋め込みフォントがない場合の対処と再出力方法
4-1. Illustrator・InDesignで正しくPDFを書き出す設定
4-2. Word・PowerPointでPDF化する際の注意点
第5章:印刷発注前にチェックすべきポイントと社内ルール化のコツ
5-1. 入稿前チェックリストで確認すべき項目
5-2. 社内共有テンプレートを活用したチェック体制の整備
5-3. 新入社員でもできる「トラブルを未然に防ぐ流れ」
第6章:まとめ|フォント確認を習慣化して印刷品質を安定させよう
6-1. フォント確認を習慣化して印刷品質を安定させよう
第1章.はじめに|なぜPDFの埋め込みフォント確認が必要なのか
1-1. フォント埋め込みとは?PDFに文字情報を保持する仕組みを解説
PDFの「フォント埋め込み」とは、ファイル内に文字の形(フォントデータ)を一緒に保存することです。
この設定を行うことで、他のパソコンや印刷会社で開いても、同じ文字のデザインを正確に再現できます。
たとえば、社内で「游ゴシック」や「ヒラギノ角ゴ」を使って資料を作成しても、印刷会社のパソコンにそのフォントが入っていなければ、文字が別のフォントに置き換わります。
これにより、文字の大きさや行間ずれが発生し印刷崩れの原因になります。
PDFの標準仕様でも、フォントの埋め込みは推奨されています(出典:Adobe PDF Reference)。
特に日本語フォントは欧文フォントよりも複雑で、ファイル環境に依存しやすいため、印刷用途では必ず埋め込みを行うことが基本です。
1-2. 印刷現場でよくある「文字化け」や「レイアウト崩れ」の原因とは?
印刷現場では、「文字化け」や「行ズレ」などのトラブルが頻発します。
印刷産業連合会の調査によると、PDF入稿時のトラブルのうち約38%がフォント未埋め込みによるものと報告されています(出典:日本印刷産業連合会 技術レポート 2024年版)。
原因の多くは、PDFを開く環境によって使用フォントが存在しないことです。
この場合には、受取側のPCは自動的に代替フォントを当てはめようとしますが、書体の太さや文字幅が異なるため、
- 文字が「□」や「?」に置き換わる(文字化け・豆腐文字が発生)
- 改行位置がずれる
- 太字や斜体が失われる
といった意図しない現状が発生します。
特に問題なのが、送信側のパソコン上では正しく見えるという点です。
問題が発覚するのは、印刷会社にデータを渡してからが多く、修正のやり取りで納期が遅れたり、再印刷費用が発生したりすること
がリスクとしてあります。
特にパンフレット・契約書・学会資料など、レイアウトの正確さが求められる印刷物では、フォント確認を怠ると企業イメージや信頼性に影響を与えることさえあります。
1-3. なぜ印刷会社は埋め込み確認を要求するのか?
印刷会社が「フォント埋め込みを必ず確認してください」と伝えるのは、単なる形式的なルールではありません。
それは、品質・納期・コストの三拍子を守るための必要条件だからです。
埋め込みナシのPDFを入稿する場合、印刷会社側で文字化けが発生した際は再データ作成や再出力が必要になります。
その結果、納期が1〜2営業日遅れることや、再印刷コストが発生することも珍しくありません。
東京都印刷工業組合の調査によると、フォントチェック体制を導入した企業では入稿エラー率が約60%削減されたと報告されています(出典:東京都印刷工業組合 技術報告
2024年度版)。
つまり、フォント確認を徹底することは発注者にとっても印刷会社にとっても業務効率を高める重要な工程なのです。
印刷会社の多くでは、入稿時に「フォント埋め込みチェック」を自動的に行うシステムを採用していますが、最初に作成する側(発注者)が意識して確認することで、データ修正の手間をほぼゼロにすることが可能です。
第2章:フォントを埋め込まないと発生するトラブルと原因
2-1. 書体が置き換わることで発生する段落ズレの落とし穴
PDFでフォントを埋め込まない最大のリスクは、「文字の置き換え」による段落ズレです。
印刷会社のパソコンに使用フォントが入っていない場合、システムが自動的に代替フォントを使用します。
しかし、代替フォントは元の書体と文字幅や行間が異なるため、文章の流れが変わってしまうことがあります。
たとえば、1行あたり40文字で設計した文書が、置き換え後は37文字しか入らず、次の行に文字が押し出される。
「わずか3文字の差」で段落のズレが全体に広がり、最終ページ構成まで崩れることがあるのです。
実際に、東京都内の印刷所では、フォント未埋め込みによってパンフレットの改ページがズレ、再印刷コストが15万円以上発生した事例もあります(出典:東京都印刷工業組合 技術報告 2024年版)。
2-2. 社内・印刷会社で異なる環境による再現性の欠如
PDFは「どの環境でも同じように見える」ことが理想ですが、フォントを埋め込まない場合には再現性が失われる可能性が高いです。
Windows・Mac・印刷用サーバーなど、環境ごとに搭載フォントや文字レンダリングが異なるためです。
たとえば、社内では「メイリオ」で作成したPDFを確認しても、印刷所のMac環境では「ヒラギノ角ゴ」に置き換えられることがあります。
似たフォントでも字間や高さが数%異なるため、表のセル枠やタイトル装飾がズレてしまいます。
特にデザイン重視のチラシ・プレゼン資料では、数ミリのズレでも視覚的な印象が変わります。
印刷現場では「フォント埋め込み済みPDF=正確な再現保証」として扱われています(参考:Adobe Acrobatフォント埋め込みガイド)。
2-3. 企業ブランドや納期にも影響する「フォント問題」
フォントの乱れは、単なる印刷トラブルにとどまりません。
特に企業広報物やカタログなどでは、「書体の印象=企業の印象」に直結します。
たとえば、企業ロゴの隣に置く見出しフォントが崩れると、ブランドイメージが損なわれる可能性があります。
マーケティング調査によると、デザイン崩れを起こした資料の信頼性は平均で28%低下するというデータもあります(出典:Nielsen Norman Group, 2023 UX Trust Report).
修正や再印刷により納期が遅れると、展示会やセミナーなどイベントの機会損失にもつながります。
トラブルを防ぐためにも、入稿前に「フォントがすべて埋め込まれているか」を必ず確認する習慣が重要です。
フォントを埋め込まないことは、単なる“表示の問題”ではなく、時間・コスト・ブランド信頼を失うリスクです。
次章では、こうしたトラブルを防ぐために、PDFの埋め込みフォントを確認する具体的な方法をわかりやすく解説します。
第3章:PDFの埋め込みフォントを確認するための方法
フォントを正しく埋め込んだPDFを作成することは、印刷トラブルを防ぐうえで欠かせません。
ここでは、Adobe
Acrobatや無料ツールを使って**「フォントが正しく埋め込まれているか」**を確認する方法を解説します。
特別なスキルは必要なく、数分で確認できる内容です。
3-1. 【基本】Adobe Acrobatで埋め込みフォントを確認する手順
Adobe Acrobatは、最も正確にフォント埋め込みを確認できるソフトです。
以下の手順で、埋め込み状態をすぐにチェックできます。
- PDFファイルを Adobe Acrobat Pro で開きます。
- 上部メニューから「ファイル」→「プロパティ」をクリックします。
- 「フォント」タブを選択します。
- 一覧に表示されるフォント名の右に「(埋め込みサブセット)」または「(埋め込み)」と表示されていればOKです。
「埋め込み」と表示されていない場合、そのフォントは埋め込みナシの状態です。
Acrobat Proは有料ですが、無料の「Adobe Acrobat Reader」でも同様の確認が可能です。(出典:Adobe公式ヘルプページ)。
💡 ポイント:
- 「埋め込みサブセット」とは、PDF内で使用された文字だけを埋め込む軽量設定です。
- 100ページ以上の冊子PDFでも、埋め込み済みならフォント崩れは発生をほぼゼロにすることが可能です。
3-2. 【無料ツール】PDF-XChange Viewerなどを使った確認方法
有料ソフトを使わずに確認したい方には、「PDF-Xchange Viewer」がおすすめです。
軽量で無料ながら、フォント情報を詳細にチェックできます(出典:Tracker Software公式サイト)。
手順は以下の通りです。
- PDF-Xchange Viewerでファイルを開く。
- メニューから「ファイル」→「プロパティ」をクリック。
- 「フォント」タブを開くと、埋め込み状況が一覧で確認できます。
「Embedded(埋め込み)」または「Embedded Subset」と書かれていればOKです。
日本語にも対応しており、容量も軽いので、初心者でも扱いやすいツールです。
3-3. 【簡易チェック】Windows・Mac標準機能での簡易チェック
もし専用ソフトを使わない場合でも、簡易的なチェック方法があります。
■ Windowsの場合
- PDFファイルを「Microsoft Edge」で開く。
- 表示が崩れたり、文字化けしていなければ大きな問題はない可能性が高いです。
これはあくまで「見た目チェック」であり、フォントが埋め込まれているかまではわかりません。
■ Macの場合
Macの標準プレビューアプリ(「プレビュー」)でPDFを開くと、多くの場合は正しく表示されますが、フォント未埋め込みの場合に自動で代替フォントに置き換えられることがあります。
印刷前に確実に確認したい場合は、やはりAdobe Acrobatでの検証をおすすめします。
3-4. 埋め込み済みフォントと未埋め込みフォントの見分け方
確認結果で「埋め込み」と表示されているフォントは安全ですが、埋め込みナシ フォントには要注意です。
状態 | 表示例 | 印刷結果のリスク |
---|---|---|
埋め込み済み | MS明朝(埋め込みサブセット) | 問題なし。どの環境でも同じ表示。 |
未埋め込み | 游ゴシック | 他環境で文字化け・改行ズレが発生。 |
もし未埋め込みのフォントが含まれている場合は、再度PDFを書き出す際に「フォントを埋め込む」設定をONにして再出力しましょう。
(設定例:Illustratorの場合「PDF書き出し設定」→「フォント」→「すべてのフォントを埋め込む」にチェック)
フォント埋め込み確認は、数分の作業で大きな印刷トラブルを防げる重要な工程です。
次章では、フォントが埋め込まれていなかった場合の修正方法と再出力手順を具体的に紹介します。
第4章:埋め込みフォントがない場合の対処と再出力方法
フォントが埋め込まれていないPDFをそのまま印刷に出すと、文字化けやズレなどのトラブルが発生する可能性があります。
この章では、主要な制作ソフト(Illustrator・InDesign・Word・PowerPoint)での再出力方法と注意点をわかりやすく解説します。
4-1. Illustrator・InDesignで正しくPDFを書き出す設定
デザイン制作でよく使われる「Adobe Illustrator」や「InDesign」は、フォント埋め込みの設定を誤ると、PDF内に文字データが正しく保存されません。
以下の手順で確認・再設定がオススメです。
■ Illustratorの場合
- 「ファイル」→「別名で保存」を選択。
- ファイル形式を「Adobe PDF(.pdf)」に設定。
- 書き出しウィンドウが開いたら、左側メニューから「フォント」をクリック。
- 「フォントをサブセットに埋め込む(100%)」にチェックを入れます。
- 「互換性:Acrobat 8(PDF 1.7)」以上を選ぶと、最新仕様で保存できます。
この設定により、PDF内に使用フォント情報が完全に埋め込まれ、印刷環境が異なっても文字ズレが起きません。
Adobe公式のPDF/X-1a形式(印刷向け推奨設定)を使用するのも有効です(出典:Adobe PDF/X設定ガイド)。
💡 ポイント:
- サブセットとは「使用した文字だけを埋め込む」設定で、ファイル容量を軽くできます。
- 特殊フォント(例:商用ライセンス制限あり)は埋め込み不可の場合があるため、注意が必要です。
■ InDesignの場合
- 「ファイル」→「書き出し」→「Adobe PDF(印刷)」を選択。
- 「出力」タブ内の「カラー変換:なし」「プロファイルを含める」を確認。
- 「詳細設定」で「サブセットしきい値:100%」を設定。
- 「PDF/X-1a:2001」プリセットを選ぶと、自動的に埋め込み設定が有効になります。
この設定を行えば、再入稿時に印刷会社側でフォント確認を求められることはほぼありません。
4-2. Word・PowerPointでPDF化する際の注意点
ビジネス資料やプレゼン用データでは、「Microsoft Word」「PowerPoint」から直接PDF化するケースも多くあります。
しかし、標準のPDF書き出し機能では、フォントが埋め込まれないまま保存されることがあるため注意が必要です。
■ Wordの場合
- 「ファイル」→「オプション」→「保存」を開きます。
- 「ファイル内にフォントを埋め込む」にチェックを入れます。
- 下のオプションで
・「文書で使用されている文字だけを埋め込む(推奨)」
・「共通システムフォントは埋め込まない」
を選択しておくと、容量を抑えつつ安全に埋め込み可能です。
この設定を行った上で、「名前を付けて保存」→「PDF形式」を選択すれば、フォント埋め込み済みPDFを作成できます。
(出典:Microsoft公式サポート:フォントを埋め込む方法)
💡 ポイント:
- Wordの「印刷」→「Microsoft Print to PDF」はフォントが埋め込まれないことがあるため避けましょう。
- 書き出し後、Adobe Acrobatで「フォント」タブを開いて確認すると確実です。
■ PowerPointの場合
PowerPointも同様に、「ファイル」→「オプション」→「保存」から
「ファイル内にフォントを埋め込む」を選択します。
グラフや図形の文字が正しく印刷されるよう、PDF化前にフォント埋め込みを必ず有効にしてください。
特にセミナー資料や展示会配布物などでは、1文字のズレが信頼性の低下につながるため、事前に資料を確認するクセをつけましょう。
フォント埋め込みは、操作に慣れればわずか1分で設定できます。
印刷会社への再入稿や再印刷を防ぐためにも、出力前に「埋め込み設定」を見直すことで印刷トラブルをゼロに近づける最短の方法です。
第5章:印刷発注前にチェックすべきポイントと社内ルール化のコツ
印刷トラブルの多くは「入稿前の確認不足」によって起こります。
実際、東京都印刷工業組合の調査では、印刷トラブルの約65%がデータ不備に起因しており、そのうち半数以上が「フォント未埋め込み」や「画像リンク切れ」に関するものと報告があります。(出典:東京都印刷工業組合 技術報告 2024年版)。
ここでは、入稿前に押さえるべきチェック項目と社内での効率的なチェック体制の作り方を紹介します。
5-1. 入稿前チェックリストで確認すべき項目
印刷前のチェックは、ミスを未然に防ぐ最も効果的なステップです。
以下の項目を1つずつ確認するだけで、ほとんどのトラブルは防げます。
✅ フォント関連
- すべてのフォントが「埋め込み済み」になっているか
- 特殊フォント(商用・非対応フォント)を使用していないか
- フォントが置き換わっていないか(見た目のズレを目視確認)
✅ 画像・レイアウト
- 画像解像度は300dpi以上あるか(印刷品質の基準)
- 画像リンクが切れていないか(特にIllustrator使用時)
- トンボ・塗り足し設定(3mm以上)があるか
✅ PDF出力設定
- 「PDF/X-1a」形式または「すべてのフォントを埋め込む」設定を使用しているか
- ページサイズ・断裁位置が正しいか
- カラーモードがCMYKに変換されているか(RGBのままだと色が変化)
このようなリストを社内標準の「入稿チェックシート」として運用すると、担当者が変わっても一定の品質を保てます。
5-2. 社内共有テンプレートを活用したチェック体制の整備
ミスを減らすためには、「個人の確認」ではなく仕組みで防ぐ体制が重要です。
おすすめは、GoogleスプレッドシートやExcelを使った入稿チェックテンプレートの導入です。
チェック項目 | 状態 | 担当者 | 確認日 |
---|---|---|---|
フォントが埋め込み済み | ✅ | 佐藤 | 2025/10/05 |
画像解像度300dpi以上 | ✅ | 田中 | 2025/10/05 |
カラーモードCMYK | ⚠ 修正要 | 佐藤 | 2025/10/05 |
このように「誰が・いつ・どこを確認したか」を可視化することで、二重確認や漏れの防止につながります。
チェックシートをクラウドで共有化することでデザイナー・営業・印刷会社の三者が同時に進捗を確認でき、修正対応もスムーズです。
社内で共有する際は、チェック項目に優先度(A=必須/B=推奨)をつけると、新入社員でも判断しやすくなります。
5-3. 新入社員でもできる「トラブルを未然に防ぐ流れ」
印刷発注を初めて担当する新入社員にとって、「何を確認すればいいのか」が最も不安なポイントです。
その不安を解消するために、以下の流れを社内標準として定めると安心です。
📘 新人でもできる3ステップ
-
PDFを開いて「フォント埋め込み」を確認する
→ Adobe Acrobatのctrl+D /文書プロパティ/フォントでチェック。

- チェックリストを開き、1つずつ確認に✔を入れる
→ 不明点は上司または印刷会社に質問する。 - 最終確認データを印刷会社へ送信し、「確認済みPDF」を保存しておく
→ トラブル時に履歴が残るため、責任範囲を明確化できる。
この手順をマニュアル化し、週次ミーティングでチェック精度を共有すると、社内全体の品質意識が高まります。
入稿チェックの仕組みを整えることで、再印刷や納期遅延のリスクを減らし、信頼される発注担当者として成長できます。
次章では、これまでのポイントを整理し、印刷品質を守るための総まとめを紹介します。
第6章:まとめ|フォント確認を習慣化して印刷品質を安定させよう
PDFのフォント埋め込みは、印刷データの品質を守るための最も基本であり最も重要な工程です。
一見小さな作業のように見えても、フォントを埋め込まないことで起こるトラブルは想像以上に大きく、印刷事故の約4割がフォント関連の不備に起因しています(出典:日本印刷産業連合会 2024年度調査報告)。
第1章から第5章を通じて見てきたように、フォントを埋め込まないままPDFを作成すると、
- 書体が置き換わり、段落や改行がズレる
- 印刷会社や社内PCでレイアウトが再現できない
- ブランド資料やパンフレットの信頼性が低下する
といった問題が起こります。
しかし、フォント埋め込みの確認は数分で完了する作業です。
Adobe Acrobatでのプロパティ確認や、PDF-XChange Viewerなどの無料ツールを使えば、初心者でも簡単にチェックできます。
また、WordやIllustratorなど主要なソフトでも、「フォントを埋め込む」設定を有効にしてPDFを書き出すことで、再発防止が可能です。
さらに、第5章で紹介したように、社内でチェックリストやテンプレートを共有することで確認精度を高めることができます。
特に新入社員や印刷担当が複数いる企業では、「誰が・いつ・どの項目を確認したか」を記録するルールを導入することで、品質を安定させることができます。
このように、印刷発注前のフォント確認は「作業」ではなく「品質保証のプロセス」です。
たとえば、印刷前に以下の3点を意識するだけでも、トラブルはほぼ防げます。
✅ 3つの再発防止ポイント
- PDFのフォント埋め込みを必ずチェックする(Acrobatまたは無料ツール使用)
- 入稿チェックリストを活用する(社内標準テンプレートを作成)
- 印刷会社とデータ確認のフローを共有する(再出力・修正を最小化)
これらをルーティン化することで、フォント崩れや納期遅延といったリスクをほぼゼロにできます。
最後に、印刷の品質は「確認の一手間」で決まります。
PDFデータを入稿する際のフォント埋め込み確認は、印刷品質・納期・コスト、すべてに影響する重要な要素です。
わずか1分の確認が、再印刷費用や信頼低下を防ぐ大きな効果を生みます。
遠藤印刷では、入稿データのチェックから印刷・納品までをワンストップでサポートしています。
千代田区・飯田橋エリアを中心に、学会資料・パンフレット・冊子などの印刷に幅広く対応しています。
【免責】
印刷やデザイン、PDFデータの作成・入稿に関する手順や設定は、ソフトウェアのバージョンや環境によって異なる場合があります。
そのため、本記事で紹介する方法や設定を利用したことによって生じた損害やトラブル等について、当社は一切の責任を負いかねます。
掲載情報の正確性や完全性については十分に確認を行っておりますが、
運用環境や状況に応じて最新情報をご確認の上、ご自身の判断でご利用ください。
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