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コート紙とは?光沢のある印刷用紙の特徴と用途を解説

 街中で配られるチラシや雑誌の表紙など、ツヤのある紙を見かけたことはありませんか?
それらに使われているのが「コート紙」と呼ばれる印刷用紙です。

 

 この記事では、コート紙の特徴や用途、ほかの印刷用紙との違いなどを解説します。
印刷物にどんな紙を選べばいいか迷っている方は、ご参考ください。


第1章 コート紙とは?基本と仕組み

 コート紙とは、紙の表面をコート剤でコーティングした光沢のある印刷用紙のことです。
主に広告チラシやカタログ、雑誌など、写真やカラー表現を美しく見せたい印刷物に使われます。

コート紙の原料と製法

 

 コート紙は、上質紙や中質紙を原紙として、1㎡あたり2040gの塗料を紙面に塗布して作られます。
塗料には、クレー(白土)などの白色顔料と、でんぷんなどの接着剤が使われています。
これにより、表面が滑らかで光沢のある質感が生まれます。


第2章 コート紙の特徴とメリット

 コート紙には次のような特徴があります。

  • 紙表面がなめらかで、インキのノリがよく発色が鮮やか
  • 表面にツヤがあり、写真やイラストが引き立つ
  • インクの乾きが早く、印刷工程がスムーズ
  • 比較的安価で使いやすい

 

 このため、フルカラー印刷を多用する広告物や雑誌に最適です。
また、同等の価格帯で上質紙よりも仕上がりの見栄えが良いため、コストパフォーマンスの高い用紙といえます。


第3章 コート紙と他の印刷用紙の違い

印刷用紙にはさまざまな種類があり、用途や仕上がりの印象によって使い分けられます。
ここでは、コート紙と代表的な用紙との違いを見てみましょう。

コート紙と他の印刷用紙の比較
比較対象 特徴 コート紙との違い
上質紙 コーティングなし。筆記性が高く、コピー用紙やノートに使用 発色が控えめでツヤがない。コート紙は色が鮮やかで光沢あり
マット紙 つや消し加工で落ち着いた印象 コート紙はツヤが強く写真映えするが、マット紙は上品な仕上がり
光沢紙 インクジェットプリンター用の光沢紙 コート紙はオフセット印刷向けで、家庭用プリンターには不向き
普通紙 加工なしで安価。コピー用紙に多い 印刷品質が低く、写真やカラー印刷には不向き

第4章 コート紙の用途と厚さの目安

 コート紙は、発色の良さとツヤ感を活かした印刷物に多く使われています。

主な用途

 

  • スーパーや飲食店のチラシ
  • ファッション誌や週刊誌の表紙
  • 企業パンフレットやカタログ
  • ポスター、DM、写真集 など
コート紙の厚さと用途の目安
用途 代表的な厚さ(四六判換算) 特徴
チラシ・フライヤー 73〜90kg 軽く扱いやすい
カタログ・パンフレット 110〜135kg 適度なコシと高級感
雑誌表紙・ポスター 180〜220kg 厚みがありしっかりした印象

 印刷物の用途や仕上がりの質感に合わせて厚さを選ぶと、完成度が大きく変わります。


第5章 コート紙を使うときの注意点とまとめ

コート紙は使いやすく万能な印刷用紙ですが、いくつか注意すべき点もあります。

注意点

  • 表面が滑らかすぎるため、ボールペンや鉛筆での書き込みには不向き
  • コート剤の影響で、スタンプや手書き文字が定着しにくい
  • 家庭用プリンターでは印刷ムラや気泡が生じることがある

 

そのため、商業印刷やオフセット印刷での利用が一般的です。


まとめ

 コート紙は、発色が良く、光沢のある美しい仕上がりを実現できる印刷用紙です。
比較的価格も手頃で、写真やカラーを多用する印刷物に最適です。

 

デザイン性の高い印刷を目指すなら、ぜひコート紙を選んでみてください。


よくある質問(FAQ)

Q1. コート紙とはどんな紙ですか?

A. コート紙は、紙の表面にコート剤(白色顔料+接着剤)を塗布して光沢を出した印刷用紙です。
 写真やカラーを鮮やかに表現できるため、チラシや雑誌、カタログなどのフルカラー印刷によく使われます。


Q2. コート紙と上質紙の違いは何ですか?

A. 上質紙はコーティングをしていないため、筆記性が高く落ち着いた印象になります。
一方、コート紙は表面に光沢があり、色の発色が鮮やかで写真が映えるのが特徴です。
 用途に応じて、文字重視なら上質紙、ビジュアル重視ならコート紙を選ぶと良いでしょう。


Q3. コート紙とマット紙の使い分けはどうすればいいですか?

A. コート紙はツヤのある華やかな仕上がり、マット紙はツヤを抑えた上品で落ち着いた印象に仕上がります。
 写真やデザインを強調したい場合はコート紙、文字を読みやすく上品に見せたい場合はマット紙がおすすめです。


Q4. コート紙の厚さはどれくらいが適していますか?

A. 用途によって厚さを選ぶのが一般的です。
 たとえば、チラシには73〜90kg、パンフレットには110〜135kg、雑誌表紙やポスターには180〜220kgがよく使われます。
厚みを変えることで、印象や高級感も調整できます。


Q5. 家庭用プリンターでコート紙に印刷できますか?

 

A. 基本的におすすめできません。
 コート紙はオフセット印刷向けに作られており、家庭用のインクジェットプリンターではインクが定着しにくく、ムラや気泡が出ることがあります。
商業印刷会社に依頼するのが最もきれいに仕上がる方法です。